オーナー様インタビュー #03-1 岸 宏昭様(サンクリバージュ野方学生館)

サンクリバージュ野方学生館(東京都中野区野方)

東京都中野区野方で、先祖代々、数百年に渡る地主として野方の地に暮らし続けてきた岸家。600坪の土地に、「年月が経っても、ご入居者に愛され、地域にも貢献できるマンションをつくりたい」という大きなテーマで「サンクリバージュ野方学生館」の設計がスタート。1995年の竣工から20余年が経った今も、定員の約150人の学生が入居。建設当時に植えられた桜は、地域の名所にもなっている。
マンションに対する特別な思いをオーナーの岸宏昭さんに語っていただきました。

サンクリバージュ野方学生館竣工写真
サンクリバージュ野方学生館 竣工当時(写真:篠澤建築写真事務所)
 

Q:「サンクリバージュ野方学生館」は、西武新宿線・野方駅から徒歩1~2分の近距離にあります。環七通りに面していて、西側には住宅と商店街が連なっています。 岸さんは生まれも育ちも野方ということですが、岸さんにとって「野方」はどういうイメージの街ですか?     

(岸)ひとことで言うと、「暮らしやすくて、下町のような落ち着いた街」ですね。昔は「西武線随一」と言われた商店街は、規模は小さくはなりましたが、今でも元気にがんばっています。

野方商店街

「野方」という字のとおり、昔は駅からちょっと歩けば畑ばかりでした。今も都心部や繁華街と比べると少し田舎かもしれませんが、それでも、西武新宿線で新宿までわずか10数分。

JR中野駅やJR高円寺駅にもバス、自転車なら10分~15分。徒歩でも25分くらいでしょうか。最近は健康志向の高まりで、中野駅まで歩いて、JRで都心に向かうという方も増えているようですが、東京の中でもいいポジションにある街だと思いますね。


Q:今日お話を伺う「サンクリバージュ野方学生館」には、早稲田大学をはじめ、約150人の学生さんが暮らしていらっしゃるということですね。JR中野駅周辺には複数の大学のキャンパスが新設されましたし、ますます野方に暮らす学生さんが増えそうですね。 

(岸)住宅地に根ざした商店街で、日常で必要なものは何でも手に入りますし、とにかく「安い!が命」の野方ですから、物価も都心エリアに比べると非常に低いと思いますよ。
昔からの店に加えてコンビニや飲食チェーンなどの出店も多いですから、一人暮らしの学生さんには、とても暮らしやすく、便利な生活環境だと思います。


 

Q:さて、昨年4月に、「サンクリバージュ野方学生館」の竣工20周年を祝うパーティを開かれたとか。

(岸)環境建築設計の宮坂さんを筆頭に、設計、施工、設備、管理、それから、マンション建設にあたってご理解とご尽力をいただいた地元の方々に集まっていただきました。正確には竣工から22年目を迎えたところでしたが、ぜひ節目の会をやりたいと思って企画しました。パーティでは、宮坂さんや私が当時のことを皆さまにお伝えしようとマイクを握ったのですが、やはりいろいろな思いがこみ上げてきて話が止まらなくなり、司会者から静止されることも何回かありました(笑)。


(右から)井下田氏・岸オーナー・宮坂の3人

これまで支えてくださった皆さまに出席していただき感謝しております。

サンクリバージュ野方学生館竣工20周年記念パーティー

⇒ 「サンクリバージュ野方学生館」竣工20周年を祝う会 の詳細はこちら

Q:設計を依頼した当初は、どのようなご要望を出されたのですか?

(岸)これは当時も今も変わりませんが、「ご入居者にいつまでも喜ばれるマンション」であるということを一貫して念頭においています。そのために、「築10年・20年・30年…と時が経っても、最新のものに負けない品質・競争力を持つマンションを!」という大きなテーマで設計をお願いしました。

具体的に言うと、「大地震にも耐えうる十分な耐震構造」「分譲マンションをしのぐ品質」、そして、「地域にも開かれたマンション」ということが柱になりました。

 

ー 大地震にも耐える耐震構造

Q:サンクリバージュ野方学生館の外観は、まさに「重厚」という表現がぴったりですね。1階の通路には構造を支える太い丸柱が何本も並んでいます。

(岸)完成時も「関東大震災クラスの大地震にも十分耐える構造、100年・200年経っても安心できる、高い施工品質」という力強いお話を伺いましたし、構造設計担当の方が、「東京のビルの8割が倒れる地震が起こったとしても、残りの2割に必ず入ります。」と力説されていたのをいまでも鮮明に覚えています。

サンクリバージュ野方学生館 太い柱
重厚な丸柱が並ぶ 環七までの1F通路

 

ー 「分譲マンションをしのぐ品質」

Q:学生マンションのエントランスは2階になるわけですが、円形のエントランスホールは、皆さんびっくりされるでしょうね。「本当に学生マンションなの?」という・・・

(岸)以前、「ご入居者アンケート」をとったことがあるんですが、「友達に自慢できる」という回答が多かったのがうれしかったですね。

宮坂さんは、「毎日必ず通るエントランスホールだからこそ無機質なものではなく、光や季節感、造形・デザインの豊かさを感じてもらえるものでなくてはいけない。それが、ご入居者の心や日常を豊かにするんだ」とおっしゃっていましたが、まさにその通りだと思います。


オートロック+管理人常駐+24時間セキュリティシステムのエントランス

サンクリバージュ野方学生館
2Fまで吹き抜けのエントランスホール 床のタイルは宇宙をイメージしたアート画

 

Q:素材の組合せ、デザイン、外光、間接照明の灯り・・・すべてが変化に富んでいて、とても贅沢な空間ですね。

(岸)春には、エントランス上に桜ドームができるんですよ。地方から上京してきたばかりの学生さんは、満開の桜に迎えられながら、エントランスホールを通って、新生活のスタートを切るわけです。

サンクリバージュ野方の桜

 

Q:それは、本当に感激するでしょうね。

(岸)12月に入ると大きなクリスマスツリーを飾って、学生さんと一緒に飾り付けをしています。そうした季節感とかコミュニケーションのきっかけとしても、このホールは見事に役割を果たしてくれていると思います。

サンクリバージュ野方学生館

 

ー 地域にも開かれたマンション

Q:岸家は代々続く地主の家系だということですが、その点で地域への貢献という意識をお持ちなのですね。

(岸)代々、野方の土着民族(笑)ですが、やはりこれだけの大規模の建物をつくるとなると、「地域の皆様や周辺環境への貢献」という社会的責任が新たに生じると思いました。そのためには、建物の外観デザインも重要ですし、地域の皆様に喜んでもらえるような工夫も大切だと思い、環境建築設計さんにもこの点は強く要望しましたね。

 

Q:外観については、この規模のわりに、近づいても圧迫感を感じませんね。

(岸)やはり曲線を多用している効果が大きいのではないでしょうか?建物の角を丸くデザインしているのもありますが、建物自体もゆるやかに弧を描いているんですよ。これは滅多にないフォルムだと思います。

タイルも落ち着きのある柔らかい色づかいですし、下から上へとグラデ―ションを描いているなど、街に溶け込む配慮がすみずみにまで行き届いているデザインだと思います。環境建築設計の皆さんが、コンピュータを使って何度もシミュレーションを繰り返して決定したんですが、本当によかったと思います。

サンクリバージュ野方学生館

 

Q:1Fのテナントについては、コンビニなどの店舗はお考えにならなかったのですか?

(岸)コンビニは便利でいいのですが、一方で騒音などの問題もありますから、周辺環境等を考慮してやめました。「地域貢献できるサービス」を提供していただける点を最重視して、イタリアンレストラン、整形外科、介護サービス施設に入居していただきました。残念ながらイタリアンレストランは閉店してしまいましたが、今は介護サービス施設がスペースを拡張して利用してくださっています。

 

Q:環七へ抜ける通路ですが、一般的には、敷地内は「ご入居者・関係者以外立入禁止」というマンションがほとんどですが…。

(岸)この通路が、駅や商店街への近道になるという方が結構いらして、マンションが建つことで不便にならないようにこの通路を設けることになりました。今は日中だけは通路を解放しています。

サンクリバージュ野方学生館

防犯カメラを設置するなど、セキュリティ対策はきっちり講じていますが、私は、地域に開かれているからこそ、防犯面にも効果があるのでは?と強く思っています。地域の方やテナントさんがマンションの1階を常に見回ってくれているようなものですから。ありがたいことです。

 

Q:この通路にも曲線が多用されていますし、噴水などもあって、柔らかい印象ですね。

(岸)いずれ壁面に写真や絵画を展示してもらうなどして、アート空間として利用してもらえればと思っています。いろんな形で地域貢献ができればいいですね。

サンクリバージュ野方学生館

 

Q:素晴らしいアイデアですね。

(岸)築年数が経ったからこそわかるマンションの価値ですね。サンクリバージュが地域に溶け込み、愛される存在であり続けることが、ご入居者の居心地の良さにもつながるんだということを強く感じていますね。
築20年以上になりましたが、いまだに「負けた」と思う賃貸マンションはありません!(笑)素晴らしい空間設計をしていただいた宮坂所長をはじめ、設計・建築スタッフの皆さんには本当に感謝しています。

 

Q:お話をきいていて、いかに岸さんがこのマンションを愛していらっしゃるのかもよくわかりました(笑)。

(岸)すばらしい設計に負けないように、管理にも力を入れています。このサンクリバージュ野方で学生時代を過ごした若者が、これからの日本、世界をリードしていって、たまにマンションのことを懐かしんでくれたら、これほど幸せなことはないと思っています。

 岸様、お忙しいところご協力ありがとうございました。(聞き手:ポケット・クリエイション)

 

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【関連リンク】
 サンクリバージュ野方(1期・2期)詳細ページ
 サンクリバージュ学生館ホームページ

 

・・・サンクリバージュ野方新館 篇につづく・・・
 

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